有名なのに、起源は一つではない
誰もが名前を知る料理ほど、発祥には諸説がある。 なかには王妃命名説や三日月伝説のように、後から反証された 「創られた伝統」も。ここでは D(反証・創られた伝統)と C(諸説あり)の料理を、俗説とその判定が 出典で確かめられる形に集めた。判定は起源説確度に忠実で、 Cまで「嘘」と決めつけることはしない。
創られた伝統 起源説が反証された“作り話”(D)
諸説あり 発祥に複数の説があり、対立説を併記(C)
にぎり寿司
江戸(日本)
主な説握り寿司は単一の発明者ではなく、文化年間(1804~)の安価な粕酢(尾張・中野又左衛門1804)による酢飯の普及を背景に、早すし(押し寿司)から…
諸説あり(対立説を併記)
ラーメン
日本
主な説横浜中華街由来の中国人料理人を雇った浅草・来々軒(1910)で『南京/支那そば』として供されたものが現行ラーメンの直接的起点とする説。Solt(…
諸説あり(対立説を併記)
とんかつ
日本
主な説煉瓦亭1899説/ポンチ軒1929説
諸説あり(対立説を併記)
キムチ(唐辛子入り)
韓国
主な説唐辛子は日/ポルトガル経由伝来説
諸説あり(対立説を併記)
フォー
ベトナム
主な説20世紀初頭、仏植民地ハノイで成立。仏式屠畜が残す牛骨・牛肉を在来の水牛肉スープ(xáo trâu)に転用し、中国系屋台の平打ち米麺(bánh …
諸説あり(対立説を併記)
麻婆豆腐
四川(中)
主な説清・同治年間(~1862)、成都北郊万福橋畔の陳興盛飯舗で店主の妻・陳劉氏が考案。あばた(麻)のある女将ゆえ『陳麻婆豆腐』と呼ばれた。周詢『芙蓉…
諸説あり(対立説を併記)
ナポリタン
日本
主な説占領期、米兵が茹でスパゲティにケチャップを和えて食べる様子から着想を得て、2代目総料理長・入江茂忠がホテルにふさわしい洗練版として考案。接収解除…
諸説あり(対立説を併記)
ビーフストロガノフ
ロシア
主な説現存最古のレシピは E.モロホヴェツ『若い主婦への贈り物』1871年版の Govjadina po-strogonovski s gorchit…
諸説あり(対立説を併記)
クスクス
マグリブ(北アフリカ)
主な説マグリブのベルベル人起源とされる
諸説あり(対立説を併記)
バターチキン
インド・デリー
主な説分離独立期にデリーのモティ・マハル系レストランで考案されたとの説(要検証)
諸説あり(対立説を併記)
ボルシチ
ウクライナ
主な説東スラヴ圏の在来発酵スープに起源。ウクライナで赤ビート版が定着
諸説あり(対立説を併記)
コンビーフ
英国
主な説塩漬け牛肉は古いが、現行の安価大衆食コンビーフはLiebig/Fray Bentos(ウルグアイ)が1873年に開始した缶詰コンビーフの大量・廉…
諸説あり(対立説を併記)
北京ダック
中国(北京)
主な説明初の南京(金陵)で南炉鴨(烧鸭)として成立し、永楽帝の北京遷都(1420)とともに宮廷御厨が技術を北京へ運んで定着した、とする説。便宜坊の旧幌…
諸説あり(対立説を併記)
フムス
レバント(シリア・レバノン)
主な説冷製の磨り潰しヒヨコ豆+タヒニという現行形の確実な記録は13〜14世紀のレバント(アレッポのイブン・アル=アディーム, d.1262『美味と香料…
諸説あり(対立説を併記)
トムヤムクン
タイ
主な説チャオプラヤー川流域・中部平原の仏教徒河川共同体が、豊富な川エビと薬草(レモングラス・コブミカンの葉・ガランガル・ハーブ)で発展させた在来スープ…
諸説あり(対立説を併記)
クラムチャウダー
米国ニューイングランド
主な説chowderは仏chaudière(鍋/桶)またはchaudron(大釜)の訛り。ブルターニュ漁師がニューファンドランドに鍋煮込みの習慣を持ち…
諸説あり(対立説を併記)
トッポッキ
朝鮮半島
主な説宮中의 醤油味トッポッキ(gungjung-tteokbokki, 19C『是議全書』に記録)を前史とし、唐辛子コチュジャン主体の赤い現行型は2…
諸説あり(対立説を併記)
パエリア
スペイン・バレンシア
主な説バレンシア南部アルブフェラ湖周辺の稲作地帯で、農夫・農作業者の昼食として19世紀半ばに現行形が成立。手近な米・カタツムリ・水鳥・インゲン豆等を平…
諸説あり(対立説を併記)
タンドリーチキン
北インド(パンジャブ/デリー)
主な説パンジャブ(ペシャワールのMoti Mahal、1920年代〜)でグジュラルがヨーグルト漬けの鶏をタンドール(従来はパン専用)で焼いて創案。分離…
諸説あり(対立説を併記)
小籠包
上海(中国・南翔)
主な説1871年頃、嘉定県南翔鎮の黄明賢が肉餡に豚皮の煮こごり(肉凍/ゼラチン)を混ぜ、蒸すと湯になる薄皮の『南翔大肉饅頭』を考案、後に皮を薄く具を多…
諸説あり(対立説を併記)
ラタトゥイユ
フランス・プロヴァンス(ニース)
主な説ニース近郊プロヴァンスの農民が夏野菜(トマト・パプリカ・ナス・ズッキーニ)を余り物として煮込んだ家庭料理に起源し、ratatouilleの名は1…
諸説あり(対立説を併記)
チャプチェ
韓国
主な説17世紀初頭、李怡(イ・チュン, 1568-1619)が光海君の宮廷宴会に供した野菜・茸の和え物が原型で、王に賞され宮廷料理として定着したとする…
諸説あり(対立説を併記)
ティラミス
イタリア・トレヴィーゾ(ヴェネト)
主な説ヴェネト州トレヴィーゾの店Le BeccherieでオーナーAdo Campeolの妻Alba di PilloとパティシエRoberto Li…
諸説あり(対立説を併記)
ナシゴレン
インドネシア(ジャワ)
主な説中国商人・移民が炒め調理(中華鍋・少量の油)を持ち込み(マジャパヒト期15C以降、蘭領期に拡大)、残り飯を無駄にしない在地の家庭習慣と融合して成…
諸説あり(対立説を併記)
フレンチフライ
ベルギー/フランス
主な説18世紀のパリ、ポンヌフ橋の露天商がジャガイモを棒状に切って揚げ売りしたのが現行フレンチフライの起源とする説。食物史家ピエール・ルクレールが支持…
諸説あり(対立説を併記)
ビビンバ
韓国
主な説祭祀(제사)の供物を一椀に混ぜて食する習俗、または年末の残菜整理に由来する混ぜご飯系譜。文献初出は朴東亮『寄斎雑記』(1590頃)の混沌飯(혼돈…
諸説あり(対立説を併記)
回鍋肉
中国(四川)
主な説四川の祖先祭祀(祭祀)で茹で豚を供物とし、儀礼後に薄切りして再度炒める(回鍋=鍋に戻す)習俗に由来とする最有力説。二度調理(茹で→炒め)という調…
諸説あり(対立説を併記)