用語集

3ゲート・確度2軸・検証ログなど、Meshinomy の見方を支える用語。本文中の語はここに集約します。

概念

3ゲートさんげーと

成立時期を逆算する3条件: 食材入手ゲート/調理技術ゲート/場ゲート。

律速りっそく

化学の律速段階(rate-determining step)に由来する語。複数の要素のうち、全体の速さ・成否を決めてしまう「最も遅い/最も制約的な」要素を指す。ここでは料理の成立時期の下限を縛る食材を律速食材と呼ぶ。

確度2軸かくどにじく

成立時期の固さ(時期確度)と発祥譚の固さ(起源説確度)を別々に持つ2つの軸。混ぜない。

総称そうしょう

(この用語集固有の用法)多数の変種を束ねる、粗い粒度のまとめ行。個々の地域変種を代表させる総称規律にもとづく。※一般語「〜の総称(generic name)」とは区別する。

起源説きげんせつ

料理の発祥についての説(誰が・いつ・どこで始めたか)。1料理に複数あり得る。固さは起源説確度(A〜D)で評価し、諸説あり(C)と反証(D)を区別する。

3ゲート

場ゲートばげーと

屋台・外食・宮廷・軍隊など、料理が成立し広まった社会的な場。場所・社会階層・流通接面・担い手の4つの面に分け、どの到来経路が料理に届くか(導管)を左右する。

調理技術ゲートちょうりぎじゅつげーと

料理を可能にした調理技術・機械・手法(製粉・揚げ・缶詰加工・冷蔵・エスプレッソ抽出など)。物流・流通は食材入手ゲート側に置く。

食材入手ゲートしょくざいにゅうしゅげーと

律速食材の現地到来と、その入手経路(流通・交易・輸入も食材入手の経路として含む)=物理的下限。料理の下限年が到来年より前なら矛盾としてゲート矛盾検出に表れる(出典不明・単独説の検出器)。

食材入手ゲート

到来とうらい

律速食材が現地へ新しく入ってくること(到来年)。交易・征服・移民などの経路で運ばれる。現行様式はその食材の到来より前には成立しえず、食材入手ゲートの下限を決める。

律速食材りっそくしょくざい

料理の成立時期の物理的下限を縛る、現地に新しく到来した主要食材。化学反応の律速段階の比喩。この食材が現地に到来するまで現行様式の料理は成立しえない。料理ごとに、どの食材が律速かを記録する。

場ゲート

導管どうかん

場ゲートの社会的な導管(conduit)=社会階層・流通接面・担い手。順序なしの区別キーで、どの到来経路が料理に届くかを選ぶ。誰が先かは到来年のデータに宿る。

確度2軸

出典不明・単独説

独立した裏づけの出典が無く、単一の伝承・逸話だけを根拠とする起源説(段階D)。諸説あり(C)と分けて隔離し、要検証として扱う。食材入手ゲートが検出器。

初出しょしゅつ

ある料理・語・様式が文献に初めて現れる記録(初出年)。現存最古の記録であって発祥そのものではない(記録が残る前に存在した可能性を含む)。成立時期の下限・時期確度の根拠になる。

創られた伝統つくられたでんとう

後世に作られたのに古くからの伝統に見せかけられた起源譚。一次史料の裏付けを欠く(invented tradition)。起源説確度D。例: マルゲリータの王妃命名譚。

時期確度

成立時期の固さ(A/B/C/D)。起源説確度と別に持ち混ぜない。

段階(ティア)

A=構造的必然/B=学術定説/C=通説・諸説/D=出典不明・単一・創られた伝統。

諸説あり

対立する説を全併記すべき状態(段階C)。出典不明・単独説(D)と区別する。

起源説確度

発祥譚の固さ(A/B/C/D)。時期確度と混ぜない。

起源説

俗説・通説

広く信じられているが一次史料の裏づけを欠く、または誤りの起源説。史料で検証し、対立説を残すべき『諸説あり(C)』か否定された『反証(D)』かを判定する。楔(通説vs史料)の標的。

解決済みopen

俗説を反証したが真の起源は不明、という第三状態。例: ハンバーガー。

起源譚きげんたん

料理の発祥を語る物語・伝説。とくに創業者・王侯・逸話に発祥を帰す型を指す。史料の裏づけを欠く近代の創作であることが多く、史料と突き合わせて支持・反証を判定する。

関係

伝播でんぱ

ある料理・様式が別の土地へ伝わり広がること。横断関係の一種として伝わった先の料理と結ぶ。誰が先かは到来年のデータに宿る。

別名べつめい

同じ料理の別呼称(現地語/英名/異綴り)。最メジャー名で計上し、別名は別名台帳に登録する。主役食材が違うなら別名でなく別料理。

前史ぜんし

現行様式の前身となる古層。外来の律速食材を欠く時代の祖先料理を別の行(最も粗い粒度の祖先料理)に分けて立て、現行料理をその派生として結ぶ。「料理が無かった」と「律速食材抜きの前身があった」を区別する。

古層こそう

現行様式の前身となる古い層。外来の律速食材を欠く時代の祖型を指す。前史として別の行に立て、現行料理をその派生として結ぶ。『料理が無かった』と『律速食材抜きの前身があった』を区別する。

同名異物どうめいいぶつ

同じ名前だが別系統の別料理(共通の祖を主張しない)。共通の祖を持つ同祖姉妹とは区別する。例: カオソーイ(タイ・チェンマイの卵麺カレー)とカオソーイ(ラオスの米麺トマト挽肉)。

同祖姉妹どうそしまい

共通の祖先を持つ対等な別料理。主役食材が違えば別料理として横断関係で結ぶ。例: ファラフェル(ヒヨコ豆)とターメイヤ(ソラマメ)。

地域変種ちいきへんしゅ

同じ料理が土地ごとの食材・風土に応じて分かれた変種。

変種へんしゅ

ある料理から派生した別バージョン。土地ごとに分かれた地域変種、仕立て・技法で分かれた様式変種などがある。主役食材が変われば別料理として扱う。

様式変種ようしきへんしゅ

同じ料理が仕立て・技法の違いで分かれた変種(魚版と鶏版、白仕立てなど)。

系統けいとう

共通の源から枝分かれした料理どうしのつながり(系譜)。系統をたどって同祖姉妹・古層・派生を位置づけ、系統樹(lineages)で可視化する。

運用

一次史料いちじしりょう

その出来事の当時・同時代に作られた記録(同時代の文献・公文書・現物・考古資料など)。後代のまとめ(二次文献)より重い直接証拠で、出典の重みの最上位。確度の主たる根拠にする。

出典の重みしゅってんのおもみ

出典の種別による信頼度の点数(一次史料5…AI・出典なし0)。合議の件数では上げない。確度の根拠にする。

口承こうしょう

文字記録によらず語り伝えられた伝承。出典としては文献の裏づけより弱く扱い、口承のみが根拠の起源説は確度を上げない。

支持・反証・言及

検証ログに残す3つの判定。支持=史料が説を裏づける/反証=史料が説を否定する/言及=関連するが支持も否定もしない。件数でなく出典の重みで確度に反映する。

検証ログけんしょうろぐ

料理ごとの検証の記録。日付・結果(支持/反証/言及)・確度の変化・主張・出典・更新者を、追記専用で時系列に残す監査の記録。訂正も上書きせず追記する。