一覧 / ラテンアメリカ

先住民モリ(molli/chilmolli・旧大陸香辛料以前の唐辛子ソース古層・前史) 時期 C 起源説 C 検証済

確度は2軸: 時期=成立時期の固さ/起源説=発祥譚(説)の固さ(A〜Dの4段階・別々に持つ)。

メキシコ ・ 先スペイン期(コンキスタ以前)〜征服直後。Sahagún(16C)が記述 ・ 成立年代 ?–1521 ・ 主役食材 唐辛子

記章(DB由来の作図・装飾/監修・認証ではない)|起源説確度C・検証済C記章(DB由来の作図・装飾)

これはモレ・ポブラーノ前史(古層)です。現行型を成立させた律速食材「旧大陸香辛料」を欠く時代の祖型で、現行型とは別の時計で測ります。

現行型「モレ・ポブラーノ」を見る →

現在のモレの源流とされる先スペイン期の唐辛子ソース『モリ』は、一次史料でその実在が確かめられている——だが、それが現行の複合モレへ直接つながるかは別問題で、史料上まだ決着していない。

検証ハイライト 俗説 → 判定 → 根拠

主な説
ナワトル語 mōlli(sauce)/chīlmōlli(chili sauce)。Sahagún『フィレンツェ文書』が chiltecpinm…
判定
諸説あり(対立説を併記)
主な根拠
支持Bernardino de Sahagún, Historia General de las Cosas de Nueva España (Florentine Codex), Book 6 & ethnographic books, 16C — chilmolli/molli の一次記述重み5 不明Mole (sauce) — 各種molli(chiltecpinmulli, huauhquilmolli, izmiquilmolli等)の先スペイン期記述と植民地期プエブラ複合化の整理重み1

検証ログをすべて見る ↓

3ゲート

食材ゲート
律速となる外来食材なし(唐辛子・カボチャ種・トマティーヨ・トマト・七面鳥・カカオは全てメソアメリカ在来)。旧大陸香辛料(シナモン・胡椒・アーモンド・ゴマ・小麦パン)を欠く古層=在来層で食材ゲートに縛られない
流通・技術ゲート
在来技術:メタテ/モルカヘテによる唐辛子・種子の磨砕で濃厚ソース化。先スペイン期に確立済みで律速にならない
場ゲート
アステカの祭祀・宮廷の供物料理として調製(Sahagún『フィレンツェ文書』がモクテスマ供応の各種molliを記述)。在来共同体の日常食でもある

起源説

諸説併記

★主 先スペイン期molli/chilmolli古層の実在(一次記述あり) B

ナワトル語 mōlli(sauce)/chīlmōlli(chili sauce)。Sahagún『フィレンツェ文書』が chiltecpinmulli・huauhquilmolli(アマランサス+黄唐辛子+トマト+カボチャ種)・izmiquilmolli 等を一次記述し、Karttunen辞書も16C語彙として考証。唐辛子・カボチャ種・トマティーヨ・七面鳥は全て在来=旧大陸香辛料を欠く古層で、外来食材ゲートに縛られない在来層。実在自体は一次史料で固い。

現行複合モレへの連続性は未確定(植民地期プエブラ再構成説と対立) C

古層molliの実在とは別問題として、現行の複合モレ(モレ・ポブラーノ等)がこのmolli古層から直接連続するか、それとも16-18Cプエブラで旧大陸食材(シナモン・胡椒・アーモンド・ゴマ・小麦パン)と技術を取り込み実質的に再構成され名のみ継いだか、は史料上未決着。古層を即「現行モレ」と同一視する説は反証側。

検証ログ 追記専用の監査証跡

日付結果確度主張 / 出典更新者
2026-06-20 15:34:23 支持 None→C
先スペイン期のmolli/chilmolli(唐辛子・カボチャ種・トマティーヨ等の在来食材による濃厚ソース)が実在した
Sahagún『フィレンツェ文書』が chiltecpinmulli・huauhquilmolli・izmiquilmolli 等を一次記述。Karttunen辞書(src126)も16C語彙mōlliを考証。在来食材のみ=外来食材ゲート非該当。古層実在は一次史料で固く理論確度B、ただし前史自身の年代下限は古層ゆえ緩く上限1519以前で全体確度はCに留める
polisher-3
2026-06-20 15:34:23 不明 None→C
この古層が現行複合モレへ直接連続するか(vs 16-18Cプエブラ再構成)は史料上未決着。古層=現行モレの同一視は退ける
ジャンル(唐辛子ソース)の古さは否定しない。現行複合モレの成立は植民地期プエブラで旧大陸食材を取り込んだ別事象として分離。古層を現行形と混同する見方は反証側、連続性は諸説併記Cとして開いたまま残す
polisher-3

完了定義(DoD)

✅ 充足(3ゲート/2確度/C・D対立併記/C・D出典≥1/ゲート整合)

解説

先住民モリ(molli/chilmolli)は、先スペイン期のメソアメリカで調製された、旧大陸の香辛料を欠く唐辛子ソースの古層である。これは現行モレに先立つ前史にあたる。成立時期は征服(1521年)以前にさかのぼり、年代の精度は高くないため時期確度はCにとどまる。一方で、その実在自体は一次史料が直接記述している。

この古層では律速となる外来食材が存在しない。唐辛子・カボチャの種・トマティーヨ・トマト・七面鳥・カカオは、いずれもメソアメリカ在来である。シナモン・胡椒・アーモンド・ゴマ・小麦パンといった旧大陸の香辛料・素材を欠くため、食材ゲートに縛られない在来層として扱える。

技術の面では、メタテモルカヘテ(石の擂り具)で唐辛子と種子を磨砕し、濃厚なソースにする手法が用いられた。この磨砕技術は先スペイン期にすでに確立しており、律速にはならない。場の面では、アステカの祭祀や宮廷の供物料理として調製される一方、在来共同体の日常食でもあった。スペイン人修道士サアグンの『フィレンツェ文書』は、モクテスマへの供応に各種の molli が出されたさまを記録している。

研磨ストーリー

この料理で問われるのは、俗説の反証というより、実在と連続性をきちんと切り分けることである。まず古層の実在は固い。ナワトル語 mōlli(ソース)/chīlmōlli(唐辛子ソース)について、サアグンの『フィレンツェ文書』が chiltecpinmulli・huauhquilmolli(アマランサス・黄唐辛子・トマト・カボチャ種)・izmiquilmolli などを一次記述し(重み5)、カートゥネンのナワトル語辞書も16世紀の語彙として学術的に考証している(重み4)。先スペイン期に在来食材だけの濃厚な唐辛子ソースが実在した、という点はこれらが直接支える。

だが、この古層が現行の複合モレ(モレ・ポブラーノ等)へ直接連続するかは、別の問題として未決着である。古層 molli から連続したのか、それとも16〜18世紀のプエブラで旧大陸食材(シナモン・胡椒・アーモンド・ゴマ・小麦パン)と技術を取り込んで実質的に再構成され、名のみを継いだのか——史料はまだ答えを出していない。

したがって本DBは、古層を即『現行モレ』と同一視する説を反証側に置き、連続性に関する起源説を諸説併記(C)として扱う。実在は一次史料で固いが、現行モレへの架橋は開いたまま、という二段構えがこの前史の正確な姿である。

このページの誤り・修正を報告

関連する料理

系統 家族・前史・変種

主役食材を共有(唐辛子)

近い料理 食材・年代・地域の重なり