食文化圏 / 北米

米国汎料理の成立史

北米の食文化圏「米国汎」に属する料理 29 品の成立史。 いつ・どこで成立したかを、3ゲート(食材入手/調理技術/場)・確度2軸・検証ログで根拠まで辿れます。

この食文化圏の指紋 DB由来のデータ集計(装飾でなく事実)

この圏に特徴的な食材全圏平均より偏って多く現れる律速食材(=この圏に特徴的な素材)。汎用食材は突出しないので外れます。

  • 全圏平均の約 59.62 倍・2 品で律速(=この圏で偏って多く使われる食材)。
  • 全圏平均の約 1.53 倍・2 品で律速(=この圏で偏って多く使われる食材)。

成立年代の分布成立年代の分布(最古 1300 年〜最新 1965 年)。

  • 中世 2
  • 近世 4
  • 近代 11
  • 現代 12

食材は在来か外来か律速食材が在来(もとから現地にあった)か、外来(交易・開国・植民地交易などで届いた)かの比率。

在来 2 外来 9

所属する料理 29

  • 定番 アップルパイ 米国 1381–? 時B説B

    「アップルパイほどアメリカ的なものはない(as American as apple pie)」という言い回しは有名だが、リンゴパイはアメリカ生まれではない。製法は英国中世にすでにあり、主役のリンゴも旧大陸の産で、入植者が持ち込むまで北米には無かった。

  • 定番 ベーグル 米国 1610–? 時B説B

    「ベーグルは1683年、ウィーンの戦いに勝ったポーランド王を称え、あぶみの形に作られた」という有名な起源話が語り継がれてきた。だが、これは後世の作り話で、ベーグルはそれより70年以上前のポーランドの記録にすでに姿を見せている。

  • 定番 ローストターキー United States 1621–? 時B説B

    毎年11月、アメリカの感謝祭の食卓には丸ごとのローストターキーがのぼる。その始まりを1621年プリマスの「最初の感謝祭」に求める有名な物語は、しかし唯一の目撃記録が七面鳥を一言も書き残していない、後世に組み立てられた建国の伝説である。

  • 定番 マカロニアンドチーズ 米国 1769–1824 時B説C

    アメリカの家庭料理の代名詞のような一皿。ジェファーソン大統領が発明したという有名な逸話があるが、これは当のモンティチェロ財団自身が否定する作り話で、マカロニとチーズを合わせる料理そのものは中世ヨーロッパの写本にまでさかのぼる。

  • 定番 パンプキンパイ 米国 1796–? 時B説B

    1621年の最初の感謝祭でピルグリムがパンプキンパイを振る舞った——広く知られたこの物語は、当時の入植者にはこのパイを作るすべがなかった、後世の作り話である。

  • 定番 ドーナツ 米国 1809–1850 時B説C

    穴のあいたドーナツは、19世紀半ばにメイン州の船長ハンソン・グレゴリーが船の上で発明したという話が広く語られる。だが根拠は本人の後年の回想と地元の記念碑だけで、しかも中身の食い違う二つの逸話が並び立つ。ドーナツそのものの出自は、この穴の伝説よりずっと古く、オランダ移民の揚げ菓子にさかのぼる。

  • 定番 バターポップコーン 米国 1820–? 時B説B

    最初の感謝祭(1621年)で先住民がポップコーンをふるまった——広く知られるこの逸話は、19世紀末に作られた物語で、史実の裏づけを欠く。

  • 定番 バターミルクパンケーキ 米国 1840–? 時B説B

    朝食の定番として素朴で古そうに見えるバターミルクパンケーキだが、あのふんわりした膨らみは、19世紀半ばのアメリカで化学膨張剤が広まって初めて生まれた、意外に新しい持ち味である。

  • 定番 ポテトチップス 米国 1850–1860 時B説B

    ポテトチップスは1853年にサラトガの料理人ジョージ・クラムが偶然生み出した——広く語られるこの発明譚には、同時代の史料の裏づけがない。極薄に切って揚げたジャガイモの記録は、それより数十年前から残っている。

  • 定番 ミートボールスパゲッティ United States 1880–1920 時B説B

    ミートボールスパゲッティは「イタリアの伝統料理」だとよく紹介されるが、実はイタリア本国にこの盛り付けそのものが存在しない。1880年代から1920年代にかけて米国へ渡った南イタリア系移民が、新大陸で手に入りやすくなった挽肉と乾麺、トマトソースを組み合わせて作り出した、アメリカ生まれの一皿である。

  • 定番 ハンバーガー 米国 1885–1905 時B説D

    アメリカを代表する一皿。「最初に出した店」を複数の町が名乗り出るが、どれが本当の発祥かは一次史料では確かめられない。誰が最初かを決められないこと自体が、この料理の起源についての結論である。

  • 定番 ポップコーン 米国 1885–? 時B説B

    最初の感謝祭で先住民がピルグリムにポップコーンを贈った——アメリカで長く語られてきたこの心温まる場面は、19世紀末の小説から生まれた後世の作り話である。一方でポップコーンそのものは、数千年をさかのぼるアメリカ大陸の古い在来食だ。

  • 定番 ピーナッツバターアンドジェリーサンドイッチ 米国 1895–1901 時B説B

    パンにピーナッツバターとジャムを挟んだだけのこの軽食は、いまや米国の国民的な一皿である。1901年にある寄稿者が雑誌で「独創的」と称して載せたのが発明だと語られることもあるが、それは活字になった最初の記録にすぎず、生みの親を一人に絞ることはできない。

  • 定番 アメリカンピザ 米国 1905–1950 時B説C

    アメリカ式のピザは、1905年にロンバルディが全米初のピッツェリアを開いて生まれた——この単一創業者の物語は、新聞の調査によって史料の裏付けを欠く後付けの『創られた伝統』だと示されている。

  • 定番 フェットチーネ・アルフレード 米国 1908–1950 時A説B

    『1908年、ローマのアルフレードが考案した』と語られるこの一皿。だがその原型に生クリームは入っておらず、私たちが親しむクリームソース版は、海を渡ったアメリカで作り直された別物である。

  • 定番 ミルクセーキ United States 1922–? 時B説B

    ミルクセーキは1922年にシカゴのウォルグリーンズが発明した――そう語られることが多いが、実は「milkshake」という語自体はそれより37年早い1885年にすでに使われており、実際に起きたのは単一の発明ではなく段階を踏んだ成立だった。

  • 定番 スモア 米国(汎・キャンプ文化) 1925–1927 時B説C

    焚き火で炙ったマシュマロとチョコをグラハムクラッカーで挟む米国の野営菓子。「ガールスカウト隊長ロレッタ・スコット・クルーが1927年に考案した」という広く知られた逸話は、その人物の実在すら確かめられない作り話である。

  • 定番 コーンドッグ 米国 1926–1946 時B説C

    コーンドッグには「うちが元祖」と名乗る店がいくつもあるが、どの発明者の逸話よりも古い物証が残っている。誰が最初に作ったかは決着せず、州フェアの露店で複数の担い手が形にした食べ物とみるのが史料に忠実だ。

  • 定番 チーズバーガー 米国 1926–1932 時B説C

    1924年にパサデナの16歳の料理人が焼けたパテへチーズを載せたのが最初、という有名な話には、それを伝える同時代の記録が無い。デンバーの「商標」もルイビルの「元祖」も同じように崩れ、チーズを載せたハンバーガーは1920年代後半の全米各地にほぼ同時に現れる。

  • 定番 チョコチップクッキー 米国 1938–1938 時A説B

    チョコチップクッキーは、溶けるはずのチョコが溶け残ってできた「偶然の失敗作」だという話が広く知られる。だがそれは後世の作り話で、考案者ルース・ウェイクフィールドは1938年、チョコを刻んで形を残すことを狙って作っていた。

  • 定番 グラノーラ 米国 1965–1972 時B説C

    「グラノーラは1863年に生まれた由緒ある健康食」という話が広く語られる。だが19世紀のグラニュラ(Granula)はグラハム小麦粉を焼いて砕いた硬い塊で、一晩牛乳に浸さなければ歯が立たない別の食べ物であり、しかもその1863年という年は、現地の歴史標識に刻まれてさえいない。

  • サッコタッシュ 米国 1300–? 時B説B

    トウモロコシとインゲン豆を土器で煮込んだ、北米先住民アルゴンキン系の在来料理。現代のレシピがライマ豆(バタービーンズ)で作られることから「先住民の原型もライマ豆だった」と語り継がれてきたが、その豆は南米生まれで、後の姿を発祥へ読み込んだ取り違えである。

  • 米国式テリヤキ 米国 1868–1940 時B説B

    米国のレストランで肉に甘辛だれを絡めて焼く「テリヤキ」は、瓶詰めソースの発売や特定の専門店の開業が生んだ料理だとよく語られる。だが実際には、瓶詰めソースが店頭に並ぶよりずっと前、1940年のホノルルの新聞にはすでに「Teriyaki Steak」の文字がある。よく語られる起源譚は、この料理が広まった段階の出来事にすぎない。

  • ブラウニー&バニラアイス 米国 1900–1950 時C説C

    ブラウニーに冷たいバニラアイスを添える『ブラウニー・アラモード』。この『アラモード』提供が高級ホテルで生まれたという命名譚が語られるが、同時代の史料に裏づけはなく、この組み合わせに単一の発明者はいない。

  • カンザスシティ・バーベキュー 米国 1908–1950 時B説B

    カンザスシティ・バーベキューの顔である、あの濃厚で甘いトマト・糖蜜ソースは、この様式を生んだ人物の原型そのものだと語られがちだが、その創業期の味は実は正反対で、甘さは後の世代が付け足したものだった。

  • ルーベンサンドイッチ 米国 1910–1930 時B説C

    コンビーフとザワークラウト、スイスチーズをライ麦パンに挟んで焼いたルーベンサンドイッチ。発祥地を争うニューヨーク説は、文献をたどると「同じ名前の別のサンド」だったことがわかる。

  • バイソンバーガー 米国 1960–? 時C説B

    北米に古くからいたバイソンの肉で焼くこのバーガーは、実のところ二十世紀後半になって市場へ現れた新しい一皿である。ほとんど絶滅しかけた獣が牧畜として戻ってくるまで、挽いて売られる肉は店先に並びようがなかった。

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