食材から辿る / 在来

ヨーグルト 素材 時期 C検証済

成立年代 前5000〜

ヨーグルトが、いつ・どこで食べ物として成立し、各地へどう伝わったかをまとめています。 原産地での成立を3ゲート(食材入手・調理技術・場)で示し、その後の各地への到来を記録でたどります。

3ゲート

食材入手ゲート
家畜化(牛/羊/山羊の乳の恒常利用・近東新石器 ~前7千年紀)
調理技術ゲート
乳酸発酵(乳を発酵させる技術。各地で偶発的に独立発生)
場ゲート
食用成立=加工(発酵)成立と同年

ヨーグルトはどこから広がったか

ヨーグルトは、乳がなければ始まらないが、乳があるだけでも生まれない。搾ったままの乳を放っておくと、乳のなかにいる乳酸菌が糖を食べて酸を出し、酸で蛋白質が固まって、とろりとした塊になる。人が発明した工程ではなく、暖かい土地で乳を置いておけば起こる現象である。だからヨーグルトは、乳を扱う人びとのところで、繰り返し、別々に生まれた。

まず乳のほうが要る。牛・羊・山羊が飼われ、肉や皮だけでなく乳を継続して取るようになったのは近東の新石器時代のことで、アナトリアの土器に残る脂の痕跡は、紀元前9千年紀から前6500年ごろにはすでに乳が煮炊きに使われていたことを示している。発酵した乳、つまりヨーグルトの類が各地に現れるのは紀元前5千年紀ごろで、これも一か所から広まったのではなく、乳を扱う地域それぞれで独立に成立したと考えられている。

誰が最初かは決まらない

そのため、ヨーグルトには発祥の地が定まらない。近東からアナトリア、中央アジア、南アジア、バルカン半島から東欧にかけて、乳の出る家畜のいる範囲のほぼ全域に、名前と作り方の違う発酵乳がある。レバントでは紀元前3000年ごろには乳を発酵させ、水を切って濃くしたもの(ラブネの類)が食べられていた。インドでは紀元前1500年から前1000年ごろの段階でヨーグルト(ダヒ)が日常の食であり、ベンガルでは紀元前1000年ごろから発酵乳の伝統が続いている。アナトリアではヨーグルトを水で薄めた飲みものや、香草と混ぜた和えものが土地の食になり、ヒマラヤの南麓のネパールでは、素焼きの器で固める甘い凝乳が祭りの食として現在まで残る。東欧では中世以降、発酵乳を冷たい汁ものに仕立てる流儀が広まった。

保存のための酸

発酵の利点は、味だけではない。酸っぱくなった乳は、腐敗を起こす菌が増えにくい。冷蔵のない時代、搾った乳は数時間で飲めなくなるが、酸で固めてしまえば数日から数週間もつ。さらに水を切って塩を加え、乾かして硬い玉にすれば、乾燥した草原の旅にも耐える。乳という傷みやすいものを、時間に耐える食べものへ変える最初の技が、ヨーグルトだったのである。

家畜の乳がある土地には、ほぼ例外なくその土地の発酵乳がある。誰が最初に作ったのかを決められないのは、記録が失われたからではなく、いたるところで同じことが起きたからである。

各地への伝来 6

各地で食べ物として定着した時期の記録です。地域によっては、それに先立つ物理的な到来(観賞用など、食用より前の前史)が含まれることがあります。

  • 前3000頃 レバント 在来
  • 前1500〜前1000頃 インド 在来
  • 前1000頃 ベンガル 在来
  • 800頃 東欧 在来
  • 時期不明 アナトリア 在来
  • 時期不明 ネパール 在来

ヨーグルトを使う料理 26

成立年不明 3

成立の下限(いつ以降か)が史料から決まらない料理。年代順には置けないのでここへ分けた ── いちばん古いという意味ではない。 「遅くとも◯年までに」はその年までに存在したことが押さえられているという意味で、その年に成立したという意味ではない。

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