食文化圏 / サブサハラ
エチオピア・角地域料理の成立史
サブサハラの食文化圏「エチオピア・角地域」に属する料理 5 品の成立史。 いつ・どこで成立したかを、3ゲート(食材入手/調理技術/場)・確度2軸・検証ログで根拠まで辿れます。
この食文化圏の指紋 DB由来のデータ集計(装飾でなく事実)
律速になりがちな食材成立を決めた律速食材として現れた回数(料理数)。
食材が届いた経路律速食材の到来経路(channel)の傾向。在来=もとから現地にあった食材。
成立年代の分布成立年代の分布(最古 500 年〜最新 1600 年)。
起源説の確度起源説の固さ(A=構造的必然〜D=要検証)の内訳。C/D は諸説・反証ありの料理。
所属する料理 5
-
インジェラ
エチオピア高原 500–1500
時C説C
エチオピア高原の発酵させた薄焼きパン、インジェラ。その土台となるテフ栽培の古さは確かめられているが、発酵パンとしてのインジェラそのものがいつ生まれたかは、史料では固められていない。「前100年起源」という言い伝えは、確かめようがないままだ。
-
キトフォ
エチオピア(グラゲ地方) 1500–1800
時B説C
エチオピアの生牛肉料理キトフォ。「戦時に炊事の煙を敵に隠すため生肉を食べたのが始まり」という劇的な起源譚が広く語られるが、これは史料の裏付けを欠く後付けの作り話である。
-
シロ
エチオピア高原 1600–1900
時B説B
挽き割りの豆を煮るシロは、北エチオピア高原の正教徒が断食(精進)の日に食べてきた古い一皿である。だが、いま誰もが思い浮かべる赤く辛いシロは、新大陸の唐辛子が海を渡って届いたあとの姿でしかない。
-
ティブス
エチオピア高原 1600–1900
時B説B
エチオピア高原の角切り肉のソテー「ティブス」は、唐辛子で辛く味つけた現行版が知られるが、その芯は唐辛子の到来よりはるか昔からある在来の焼き肉である。
-
ドロワット
エチオピア高原 1600–1700
時A説C
エチオピアのドロワットは古代アクスム帝国まで遡る——そう誇らしく語られることがある。だが、いまの燃えるように赤いワットは、決め手の唐辛子が新大陸からアフリカに渡った16〜17世紀より前にはありえない。