食材から辿る / 旧大陸
仔牛肉 素材 時期 B検証済
仔牛肉が、いつ・どこで食べ物として成立し、各地へどう伝わったかをまとめています。 原産地での成立を3ゲート(食材入手・調理技術・場)で示し、その後の各地への到来を記録でたどります。
近東(アナトリア東部〜上部ユーフラテス/ティグリス)で前8500年ごろオーロックスからタウリン牛が家畜化され(Verdugo et al. 2019, Science)、牛群の維持が必然的に生む余剰の若齢個体の淘汰=仔牛肉の入手が家畜化と同時に成立。若齢個体の選択的淘汰は近東・欧州の新石器遺跡の屠殺年齢プロファイルが裏づける(Vigne & Helmer 2007)。南アジアではコブ牛 Bos indicus が前6500年ごろ独立家畜化=第二の原産地。文献上は Apicius『De Re Coquinaria』第8巻Vが「bubula sive vitulina(牛肉あるいは仔牛肉)」として仔牛肉専用の章を立て、1〜5世紀には牛肉と区別された料理カテゴリだったことが確認できる。代表下限 -8500 は家畜化年に錨を打った値で、文献初出を成立年に置き換えていない
3ゲート
- 食材入手ゲート
- 在来(近東で家畜化されたタウリン牛 Bos taurus の若齢個体。牛群の維持は余剰の雄仔牛を生むため、家畜化=仔牛肉の入手が同時に成立する。新石器の屠殺年齢プロファイルは家畜化初期から若齢個体が選択的に淘汰されたことを示す=Vigne & Helmer 2007。南アジアのコブ牛 Bos indicus は別系統の第二の原産地で前6500年ごろ)
- 調理技術ゲート
- 火による加熱(焼く・煮る)で自明。仔牛肉に固有の技術は乳飲み仔牛(milk-fed veal)を得るための離乳前屠殺という飼養管理で、これも搾乳=酪農と一体で新石器期に成立している
- 場ゲート
- 原産地では入手=食用が同時に成立し、場ゲートは退化。文献上は Apicius 第8巻Vが牛肉と別章に「vitulina」を立てており、ローマ期の都市食では牛肉と区別された食材カテゴリとして確立していた(記録上の最古は1〜5世紀)
各地への伝来 3
各地で食べ物として定着した時期の記録です。地域によっては、それに先立つ物理的な到来(観賞用など、食用より前の前史)が含まれることがあります。
- 前8800〜前8000頃 アナトリア 在来
- 前7000〜前6000頃 北インド 在来
- 1500頃 バイエルン 在来在地栽培
仔牛肉の到来が成立を縛った料理 2
仔牛肉が届く前には成り立たなかった料理です。到来年が、その料理の物理的な下限になります。
- コトレッタ・アッラ・ミラネーゼ ミラノ1100年ごろ
- ウィンナーシュニッツェル オーストリア・ウィーン1800年ごろ