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デ・ラサニス(Liber de coquina, 14世紀) 時期 B起源説 C検証済

確度は2軸: 時期=成立時期の固さ/起源説=発祥譚(説)の固さ(A〜Dの4段階・別々に持つ)。確度とは?→

ナポリ ・ 14世紀(Liber de coquina de lasanis, ナポリ系写本) ・ 成立年代 1300–1399 ・ 主役食材 パスタ

記章(DB由来の作図・装飾/監修・認証ではない)|起源説確度C・検証済C記章(DB由来の作図・装飾)

「世界最古のマカロニ&チーズ」とも呼ばれる14世紀ナポリの一皿。だがそれは最古の“料理”ではなく、いま読める最古の“レシピ”である――この区別こそがデ・ラサニスの肝だ。

検証ハイライト 俗説 → 判定 → 根拠

主な説
パスタ+チーズを層仕立てにする現存最古の『レシピ』は、南伊ナポリ(アンジュー家)系のラテン語料理写本 Liber de coquina の 'd…
判定
諸説あり(対立説を併記)
主な根拠
不明Salimbene de Adam, Cronica (c.1284): 修道士が『lasagna con formaggio(チーズ入りラザーニャ)』を貪る逸話 ― ラザーニャ+チーズ料理形が13世紀に最初に文献へ現れる箇所重み5 支持Marianne Mulon, « Deux traités inédits d'art culinaire médiéval » (Liber de coquina 校訂版), Bulletin philologique et historique 1968, 1, pp.369-435重み4

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3ゲート

食材入手ゲート
小麦のパスタ(板状)とチーズは旧大陸在来。律速食材なし(暫定)
調理技術ゲート
板状パスタを茹で摺りおろしチーズを重ねる中世調理(層仕立ての原型)
場ゲート
中世ナポリ系の料理写本 Liber de coquina(de lasanis)。宮廷/上流

成立年代と成立ゲート

主役食材の到来データが未登録(不明)のため、到来による下限(縦線)は表示していない。帯は成立年代を示す。

成立年代と成立ゲート成立 1300–139912901409

検証メモ: マカロニ&チーズの、イタリア中世の古層にあたる料理(14世紀の de lasanis)。パスタとチーズを層に仕立てる料理形としては欧州で最も古い層に位置づけられる。年代や食べられた場については、なお史料での確認の余地がある。

起源説

諸説併記

欧州最古層=de lasanis説(Liber de coquina 14C ナポリ) B

パスタ+チーズを層仕立てにする現存最古の『レシピ』は、南伊ナポリ(アンジュー家)系のラテン語料理写本 Liber de coquina の 'de lasanis'(板状パスタを正方形に切り茹で、摺りおろしチーズを層に重ねる)。Mulon(1968)校訂版の底…続きを読む

パスタ+チーズを層仕立てにする現存最古の『レシピ』は、南伊ナポリ(アンジュー家)系のラテン語料理写本 Liber de coquina の 'de lasanis'(板状パスタを正方形に切り茹で、摺りおろしチーズを層に重ねる)。Mulon(1968)校訂版の底本 BnF lat.7131 は写本年代 c.1304-1314、ナポリのアンジュー宮廷圏(Pierre de Crescens 1305・Charles II d'Anjou 没1309 を年代上限の手がかりとする立場)。ただし『チーズ入りラザーニャ』という料理形自体はさらに早く、Salimbene de Adam の Cronica(c.1284)に lasagna con formaggio を貪る修道士の逸話として文献に最初に現れる。つまり de lasanis は現存最古のレシピであって、料理形そのものの発祥ではない(初出はあくまで「遅くともこの年には存在した」ことを示すだけ)。Serventi & Sabban『La pasta』(2000)はラザーニャを欧州シート・パスタの母型(sfoglia-matrice)と位置づける。

英 makerouns 最古説との対立(写本年代の不確実) B

一般には『マカロニ&チーズの最古レシピ』として英 Forme of Cury(1390)の makerouns が挙げられることも多く、どちらを最古層とみるかは諸説ある。Liber de coquina は写本年代に幅(c.1304-14〜14C)があり、de lasanis を厳密な『マカロニ』(管状乾麺)の祖とみるのは過大評価とする立場もある(中世の lasanis は板状パスタでマカロニ管とは別系)。よって本行は『欧州中世チーズパスタ古層』として保持しつつ、最古争いは未決として併記する。

解説

デ・ラサニス(de lasanis)は、南イタリア・ナポリのアンジュー宮廷圏で編まれたラテン語の料理写本『Liber de coquina』に載る一品である。板状の小麦パスタを正方形に切って茹で、摺りおろしたチーズを層に重ねる――いまのラザーニャに直につながる、層仕立てのチーズ・パスタだ。

写本の底本(パリ国立図書館 lat.7131)は c.1304-1314 ごろに書かれたとされ、その背景には13世紀末から14世紀初頭のナポリ・アンジュー家の食卓がある。作り方そのものはむずかしくない。小麦の生地を平たく延ばして切り、チーズをのせて重ねる。主役の小麦パスタもチーズも、地中海世界に古くから根づいた素材で、ナポリの台所にはどちらも普段から置かれていた。

そして、この素朴な一皿は宮廷・上流の写本に書きとめられた。庶民の口伝にとどまらず、文字として記録されたからこそ、その手順は700年を越えて今日まで本文が残っている。デ・ラサニスが食物史で重く扱われるのも、層仕立てのチーズ・パスタを「こう作る」と記した手順書(レシピ)として現存最古だからだ。シルヴァーノ・セルヴェンティとフランソワーズ・サバンの食物史研究『La pasta』(2000) は、こうしたラザーニャ型を欧州のシート・パスタの母型として位置づけている。

検証ストーリー

デ・ラサニスにはギネス世界記録が「世界最古のマカロニ&チーズ」の称号を与えたこともあり、その看板だけが独り歩きしがちだ。だが史料を並べていくと、話はもっと込み入っている。

第一に、デ・ラサニスは最古の“料理”ではない。チーズをのせたラザーニャという食べ物自体は、このレシピよりも前から人々の口に入っていた。13世紀の年代記作家サリンベーネ・デ・アダムの『年代記』(c.1284) には、修道士が「チーズ入りラザーニャ(lasagna con formaggio)」をむさぼり食う逸話が出てくる。これがこの料理形の文献上の初出で、レシピが書かれるより20年ほど早い。つまりデ・ラサニスは、その料理を“こう作る”と最初に書き残した文書であって、料理そのものの発祥ではない。

第二に、「最古のマカロニ&チーズ」という肩書きそのものに対立する説がある。英語圏では1390年の英王室料理書『The Forme of Cury』に載る makerouns を最古とみる立場が根強い。デ・ラサニスのほうが約80年早いものの、こちらの lasanis は板状パスタで、管状の「マカロニ」とは別系統だ――だから厳密にどちらを“最古のマカロニ&チーズ”と呼ぶかは、いまも決着していない。デ・ラサニスから makerouns への流れはたどれるが、最古争いはあえて未決のまま併記している。

かつてこの料理の年代はギネスやウィキペディアの記述に寄りかかっていた。いまはマリアンヌ・ミュロンによる『Liber de coquina』校訂版(1968) が写本年代 c.1304-1314 を示し、サリンベーネの年代記が料理形の文献初出を 1284 年に置く。看板の“世界最古”は留保したまま、現存最古の手順書が14世紀初頭ナポリにあったという一点が、確かな足場として残る。

検証ログ 追記専用の監査証跡

日付結果確度主張 / 出典更新者
2026-06-27 支持 C→C
パスタ+チーズ同一レシピの現存最古は14C初頭 Liber de coquina の de lasanis(南伊ナポリ系)
executor
2026-06-27 不明 C→C
最古争い: de lasanis(伊14C初頭) vs makerouns(英1390)。写本年代に幅があり厳密な最古は未決
executor
2026-06-29 支持 B→B
de lasanis レシピは Mulon(1968)校訂版で公刊された学術校訂が存在し、底本 BnF lat.7131 は写本年代 c.1304-1314(ナポリ・アンジュー宮廷圏)
出典: Marianne Mulon, « Deux traités inédits d'art culinaire médiéval » (Liber de coquina 校訂版), Bulletin philologique et historique 1968, 1, pp.369-435 重み4
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2026-06-29 支持 B→B
Serventi & Sabban『La pasta』(Laterza 2000)はラザーニャを欧州シート・パスタの母型(sfoglia-matrice)とし、de lasanis 型の層仕立てチーズ・パスタを中世欧州の基層として扱う
出典: Silvano Serventi & Françoise Sabban, La pasta: Storia e cultura di un cibo universale (Laterza, 2000) ― 章「La lasagna: sfoglia-matrice」 重み4
polisher-1
2026-06-29 不明 B→B
『最古のマカロニ&チーズ・レシピ』を de lasanis(伊 c.1304-14) と makerouns(英 Forme of Cury 1390) のどちらに置くかは未決。前者が約80年早いが、de lasanis の lasanis は板状パスタで管状マカロニとは別系統
出典: Silvano Serventi & Françoise Sabban, La pasta: Storia e cultura di un cibo universale (Laterza, 2000) ― 章「La lasagna: sfoglia-matrice」 重み4
polisher-1
2026-06-29 不明 B→B
出典: Salimbene de Adam, Cronica (c.1284): 修道士が『lasagna con formaggio(チーズ入りラザーニャ)』を貪る逸話 ― ラザーニャ+チーズ料理形が13世紀に最初に文献へ現れる箇所 重み5
polisher-1
2026-08-10 不明 B→B
s#633『Liber de Coquina (Wikipedia)』の実体はWikipedia記事本文であり、写本年代(14世紀初頭)とナポリ周辺の著者には触れるが 'de lasanis' レシピには一切言及しない=『支持』は過大帰属
polisher-1

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構成素材

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