食文化圏 / 東欧
ジョージア・コーカサス料理の成立史
東欧の食文化圏「ジョージア・コーカサス」に属する料理 10 品の成立史。 いつ・どこで成立したかを、3ゲート(食材入手/調理技術/場)・確度2軸・検証ログで根拠まで辿れます。
この食文化圏の指紋 DB由来のデータ集計(装飾でなく事実)
この圏に特徴的な食材全圏平均より偏って多く現れる律速食材(=この圏に特徴的な素材)。汎用食材は突出しないので外れます。
成立年代の分布成立年代の分布(最古 前6000 年〜最新 1900 年)。
食材は在来か外来か律速食材が在来(もとから現地にあった)か、外来(交易・開国・植民地交易などで届いた)かの比率。
在来 4 外来 2
所属する料理 10
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定番 シュクメルリ
ジョージア 1900–1950
時C説C
鶏をニンニク入りの牛乳とバターのソースで煮込むシュクメルリは、ジョージアの小さな村の名を負っている。料理人の機転が生んだという伝承も語られるが、たしかな筋は名前そのものが指している。
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ハルチョ
ジョージア(コーカサス) ?–1939
時C説B
ジョージア(コーカサス)のハルチョは、西ジョージア・メグレリアに生まれた牛肉のスープである。その酸味を生むのはスモモのソース、トケマリ。今日よく見かけるトマト入りは、新大陸の作物が広まってから後付けされた近代の姿で、もとからの構成ではない。
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ホロヴァツ
アルメニア ?–?
時C説C
遊牧テュルクが剣に肉を刺して焼いたのがホロヴァツの始まり、という話が広まっている。だが焚火で肉を焼く営みはアルメニア高原の牧畜民が数千年前から続けてきたもので、特定の民族が発明したものではない。
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ラヴァシュ
Armenia ?–1100
時C説C
アルメニア高原からイラン高原まで、薄く延ばして土窯の内壁で一気に焼くラヴァシュは、地域で分かち持たれてきた古い薄焼きパンだ。アルメニアの国民パンとして名高いが、「どの民族が最初に焼いたか」という発祥の一点は史料からは定まらず、近年の国別の争いは味の歴史というより帰属をめぐる政治の物語に近い。
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ムツヴァディ
ジョージア -6000–?
時C説C
炭火で肉を炙り焼くジョージアの串焼き料理ムツヴァディは、観光案内などで「ジョージア最古の料理」「人類が火を使って最初に作った料理」として語られることがある。だが、この一皿を特定の民族の手柄に結びつける発祥譚は史料的な根拠を欠く後世の作り話であり、炙り肉という調理法そのものの古さとは別の話である。
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ハチャプリ
ジョージア 1100–1800
時C説C
ジョージアのチーズパン、ハチャプリ。小麦もチーズも土地に根づいた古い材料で、その起源は中世まで深くさかのぼる。一方、舟形のアジャルリを「黒海の船乗りが海と船と太陽をかたどった」とする発祥譚は、語り継がれてきただけで、史料はむしろ近代の成立を指し示す。
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ヒンカリ
ジョージア(山岳部・ヘヴスレティ/ムティウレティ) 1300–1700
時C説C
ねじり上げた頂部が太陽の紋にも見える、ジョージア山岳のダンプリング。その名の由来をめぐっては「神官の妻ヒンダから」「モンゴルのkhanの頭から」という起源譚が語られてきたが、いずれも言葉の歴史をたどると後付けの作り話とわかる。
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ロビオ
ジョージア(コーカサス) 1650–1850
時B説B
ロビオはジョージアの赤インゲン豆をクルミと香草で和える豆料理。だが「赤インゲン豆が新大陸由来だから料理ごと新参だ」という見立ては、史料が伝える古い豆料理の系譜を見落としている。
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チャホフビリ
ジョージア(コーカサス) 1850–1900
時B説C
鶏とトマトを油で炒め煮にしたジョージアの家庭料理チャホフビリ。名は「キジ」を意味する古語に由来し、5世紀の王にまつわる起源伝説を持つが、いまの姿のトマト煮込みが生まれたのは新大陸産トマトが黒海沿岸に根づいた19世紀のことである。
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タバカ(チキン)
ジョージア 1900–?
時C説B
平たく押しつけてカリッと焼いたジョージア西部の鶏料理、チキン・タバカ。その名を『タバコ』に結びつける説がよく語られるが、これは音の空似が生んだ後付けの語源話で、名の本当の元は鶏を圧して焼く鉄鍋『タパ』である。