食文化圏 / 東アジア
中国・四川料理の成立史
東アジアの食文化圏「中国・四川」に属する料理 8 品の成立史。 いつ・どこで成立したかを、3ゲート(食材入手/調理技術/場)・確度2軸・検証ログで根拠まで辿れます。
この食文化圏の指紋 DB由来のデータ集計(装飾でなく事実)
この圏に特徴的な食材全圏平均より偏って多く現れる律速食材(=この圏に特徴的な素材)。汎用食材は突出しないので外れます。
成立年代の分布成立年代の分布(最古 200 年〜最新 1930 年)。
食材は在来か外来か律速食材が在来(もとから現地にあった)か、外来(交易・開国・植民地交易などで届いた)かの比率。
在来 1 外来 6
所属する料理 8
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定番 火鍋
中国(四川・重慶) 200–?
時C説C
四川や重慶で親しまれる火鍋。チンギス・ハンが遠征中に兜で肉を煮たのが始まりだ、という語りが広く知られるが、卓を囲んで鍋を突く食べ方は、それより千年以上さかのぼる古代中国の青銅・銅の鍋に原型を持つ。
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定番 回鍋肉
中国(四川) 1749–1900
時B説C
茹でた豚肉をもう一度鍋に戻して炒める、四川の家庭の定番。だが、豆板醤のあの赤い辛さをまとうようになったのは、四川の歴史から見ればごく最近のことだ。
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定番 担々麺
四川(成都) 1840–1900
時B説C
四川・成都の街角で生まれた、胡麻と唐辛子の効いた麺。「担々」とは、天秤棒で担いで売り歩いた行商の姿そのものを指す名である。
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定番 宮保鶏丁
中国(四川) 1850–1900
時B説C
四川料理の代表格として世界に知られる炒めもの。名の『宮保』が清末の名臣・丁宝楨の官位に由来する点は確かだが、彼がこの一皿を考案したという劇的な発祥譚のほうは、同時代の記録に裏づけを持たない。
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定番 青椒肉絲
中国(四川/広東) 1850–1950
時B説C
ピーマンと豚肉の細切りを、中華鍋の強い火で一気に炒め合わせる――中国料理の定番として親しまれるこの一皿は、いまも四川・広東・福建のあいだで出身地が定まらない。
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定番 麻婆豆腐
四川(中) 1862–1880
時A説C
豆腐に挽肉と辣を効かせた四川・成都の名物。その赤く痺れる味わいは、新大陸の唐辛子が海を渡って中国に届くまで、世に生まれようがなかった。
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定番 魚香肉絲
中国(四川) 1909–1940
時B説B
魚をひと切れも使わないのに『魚香(魚の香り)』を名乗る炒めもの。成都の一家が魚料理の残り調味を豚肉に転用して命名した、という家庭発祥の逸話は、同時代の料理書に裏づけを欠く後付けの物語である。名の正体は、四川の川魚料理そのものから育った甘酸っぱく辛い味の型だった。
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夫妻肺片
中国(四川) 1930–1940
時B説D
貧しい夫婦があばた顔で牛モツを売り歩き、名物『夫妻肺片』を発明した——成都で語り継がれるこの温かな考案譚は、料理そのものの発祥ではない。安価な牛雑を茹でて薄切りにし、麻辣の紅油で和える冷菜は、郭夫妻が店を開くより前、清末の成都の街頭に既にあった。夫妻がしたのは発明ではなく、洗練と命名である。