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卵の香物 時期 C起源説 B検証済

確度は2軸: 時期=成立時期の固さ/起源説=発祥譚(説)の固さ(A〜Dの4段階・別々に持つ)。確度とは?→

日本 ・ 遅くとも寛政7年(1795)までに日本で(始まりは未特定) ・ 成立年代 〜1795 ・ 主役食材 瓜

記章(DB由来の作図・装飾/監修・認証ではない)|起源説確度B・検証済B記章(DB由来の作図・装飾)

小さな白瓜の中をくり抜いて固ゆでの卵を押し込み、奈良漬の糟に十四、五日漬けてから小口に切る。この香の物は、寛政7年(1795)に補刻された料理書『万宝料理秘密箱』に「卵の香物」の名で載り、明治・昭和の料理書にもほぼ同じ文で引き継がれたが、誰がいつ作り始めたのかは分かっていない。

3ゲート

食材入手ゲート
夏の青瓜の小さい花瓜、煎貫(固ゆで)の卵、奈良漬の糟、塩(1795年『万宝料理秘密箱』の卵の香物の仕方)
調理技術ゲート
花瓜の中の種(さなご)を小刀ですき取って水に漬け、乾かしてから、皮をむいた煎貫の卵を縦に押し込み、奈良漬の糟に漬けて十四五日ほどおき、小口切りにする
場ゲート
茶家の香の物によいとされた(1795年『万宝料理秘密箱』・1895年『実用料理法』)

成立年代と成立ゲート

主役食材の到来データが未登録(不明)のため、到来による下限(縦線)は表示していない。帯は成立年代を示す。

成立年代と成立ゲート成立 〜179517791803

検証メモ: 花瓜(小さい白瓜)の中をくり抜いて固ゆでの卵を詰め、奈良漬の糟に漬けた香の物。遅くとも寛政7年(1795)補刻の『万宝料理秘密箱』(一名『玉子百珍』)に、目録の品名と作り方が載る。明治・昭和の料理書にも同じ文が写されて残る。

起源説

未確定

★主 遅くとも寛政7年(1795)補刻の『万宝料理秘密箱』に「卵の香物」の名で載っていた(始まりは未特定) B

器土堂『万宝料理秘密箱』(一名『玉子百珍』)は、刊記に天明5年(1785)出来・寛政7年(1795)正月補刻とある。その寛政7年の本の目録に「卵の香物」があり、本文に「卵の香物の仕方」として、夏の青瓜の小さい花瓜の種をすき取り、皮をむいた煎貫の卵を縦に押し込んで奈良漬の糟に漬け、十四五日ほどして使う作り方が載る。茶家の香の物によいと書く。頁の画像で確かめた最も古い本はこの寛政7年の本で、天明5年に出来た本そのものは見ていない。誰がいつ作り始めたかは分からない。明治28年(1895)の『実用料理法』は同じ文をほぼそのまま「卵の香物の仕方」の題で載せ、昭和3年(1928)の『調味百趣』は天明5年の本から抜き書きすると断って「卵の香の物の仕方」を載せる。

解説

花瓜をくり抜いて卵を詰める

卵の香物は、瓜の中に固ゆでの卵を詰め、奈良漬を漬ける酒の糟に漬けて作る香の物(漬物)である。作り方は、器土堂の料理書『万宝料理秘密箱』の「卵の香物の仕方」に書かれている。使うのは夏の青瓜のうちの小さい花瓜(小さい白瓜)で、中の種、つまり「さなご」を小刀でよくすき取り、しばらく水に漬けてから引き上げ、またしばらく乾かす。そこへ殻をむいた煎貫(固ゆでのこと)の卵を縦に押し込み、しっかり詰め込んで、奈良漬の糟に漬ける。

一節の結びによれば、塩は見計らって加え、十四、五日ほどおいてから使い、端から輪に切る。本はこの香の物について「是は茶家の香ものに。一段とよし。」と、茶家の香の物にとりわけよいと書き添えている。

卵の部の目録に並ぶ名

『万宝料理秘密箱』は、一名を『玉子百珍』という。刊記には、天明5年(1785)に出来、寛政7年(1795)正月に補刻したとあり、版元には須原屋茂兵衛と中川藤四郎が名を連ねる。

その巻之四、卵の部の目録に「卵の香物」の品名が挙がっている。本文の題も「卵の香物の仕方」で、目録と本文の両方に同じ名が立っている。

検証ストーリー

昭和3年(1928)、大阪割烹学校々友会の『調味百趣』は、「鯛や卵の漬け物いろいろ」の節を、天明五年に出来た『鯛百珍料理秘密箱』や『萬寶料理秘密箱』(一名卵百珍)から一つ二つ抜き書きする、という断りから始めている。そこに並ぶ「卵の香の物の仕方」は、「さて煮抜きの卵の皮を去り右の瓜の中へ縦に押し込み、とくと詰こみ、後奈良漬の糟に漬けるべし。鹽はおもわく次第に入れて、但し十四五日程して遣ふべし。」と書く。昭和の割烹学校の校友会は、この香の物を江戸の料理書の一品として紹介していた。

それより三十年あまり前、明治28年(1895)に博文館が日用百科全書の一冊として出した大橋又太郎編『実用料理法』にも、同じ作り方が「(八十一)卵の香物の仕方」の題で載っている。文は「夏の青瓜の小き花瓜を。中のさなごを。小刀にて。よくすき取。」と始まり、結びの「是は茶家の香ものに。一段とよし。」まで、江戸の本の文とほとんど変わらない。明治の本の「煎貫のたまご」「立にをしこみ」は、昭和の本では「煮抜きの卵」「縦に押し込み」に替わるが、手順は同じである。明治から昭和のはじめにかけて、この香の物は「卵の香の物」「卵香の物」「玉子の香の物」などと題を少しずつ変えながら、いくつもの本に同じ作り方で載った。

明治の本とほぼ同じ文は、寛政7年(1795)に補刻された『万宝料理秘密箱』の卵の部にある。「卵の香物の仕方」の題の下の文は「夏の青瓜の小き花瓜を。中のさなごを。小刀にてよくすき取。」と始まり、目録にも「卵の香物」の品名がある。刊記によれば本が出来たのは天明5年(1785)で、昭和の『調味百趣』が天明五年の本と書いたのもこの年に合う。ただ、天明5年に出来た本にすでにこの品が入っていたかどうかは、補刻された本の刊記からは分からない。

遅くとも寛政7年には、この香の物は「卵の香物」という名で本に載り、その文が明治・昭和の料理書へ写し継がれていった。誰がいつ、瓜に卵を詰めて糟に漬けることを始めたのかは分かっていない。

検証ログ 追記専用の監査証跡

日付結果確度主張 / 出典更新者
2026-10-09 支持 —→—
「煮抜き卵の花瓜詰め粕漬け」が1928年の史料に現れる
研磨係
2026-10-10 支持 —→—
1928年(昭和3年)『調味百趣』の春(16)『鯛や卵の漬け物いろいろ』に、卵の香の物の仕方が載る。夏の青瓜の小さい花瓜の中をすき取り、水に漬けて乾かし、煮抜きの卵の皮を去って瓜の中へ縦に押し込み、奈良漬の糟に漬けて十四五日ほどして使う。頁の画像で読み直した。前の記録の逐語は『べし。』と『但し』のあいだの『鹽はおもわく次第に入れて、』を省いていた。『鹽』はかすれた字で、振り仮名と1895年『実用料理法』の同じ箇所の字に合わせた自分の読み。この節の冒頭は、天明五年に出来た『鯛百珍料理秘密箱』や『萬寶料理秘密箱』(一名卵百珍)の中から一つ二つ抜き書きすると書く
研磨係
2026-10-10 支持 —→—
1895年(明治28年)『実用料理法』に、同じ作り方が『卵の香物の仕方』の題で載る。夏の青瓜の小さい花瓜の中のさなごを小刀ですき取り、水に漬けて乾かし、煎貫のたまごの皮をとって瓜の中へ立に押し込み、奈良漬の糟に漬け、塩を見計らって入れ、十四五日ほどして使う。茶家の香の物に良いとする。この作り方には『卵の香物』という名がある。頁の画像で確かめた
研磨係
2026-10-10 支持 —→—
1795年(寛政7年)刊の器土堂『万宝料理秘密箱』(国文学研究資料館蔵)の卵の部に、同じ作り方が『卵の香物の仕方』の題で載る。夏の青瓜の小さい花瓜の中のさなごを小刀ですき取り、水に漬けて乾かし、煎貫のたまごの皮をとって瓜の中へ立に押し込み、詰め込み、奈良漬の糟に漬ける。頁の画像で見た。くずし字の読みは自分の読み。1928年『調味百趣』のこの節の冒頭は、天明五年の『萬寶料理秘密箱』(一名卵百珍)から抜き書きすると書き、1980年『江戸時代料理本集成』第5巻(館内限定・文字起こしのみで見た)の翻刻も『万宝料理秘密箱 前篇』を天明五年刊としてコマ63に『卵の香物の仕方』を載せる。天明五年(1785)刊の本そのものの頁の画像は見ていない
研磨係
2026-10-10 支持 C→B
寛政7年(1795)補刻の器土堂『万宝料理秘密箱』(一名『玉子百珍』)の目録に、品名「卵の香物」が丁付「十ヲ」とともに載る。目次に料理名として載るので、名前のある料理として立てた。本文(コマ64〜65)にも「卵の香物の仕方」の題で作り方が載る。この品の上限(遅くともこの年まで)を、頁の画像で確かめたこの本の年1795年に置く。始まりは分からない
研磨係
2026-10-10 支持 B→B

🚫 この記述は後の検証で訂正された(→ 該当行へ)

同じ寛政7年の本の「卵の香物の仕方」の末尾に、奈良漬の糟に漬け、塩を見計らって入れ、十四五日ほどして使うこと、茶家の香の物によいこと、小口切りにすることが書かれている
研磨係
2026-10-10 支持 B→B
明治28年(1895)『実用料理法』に、1795年の本とほぼ同じ文が「(八十一)卵の香物の仕方」の題で載る。文がほぼ同じなので、別の本として数える根拠には使わず、名前が明治にも受け継がれた例として記録する
研磨係
2026-10-10 支持 B→B
昭和3年(1928)『調味百趣』は、天明5年の『萬寶料理秘密箱』(一名卵百珍)などから一つ二つ抜き書きすると断ったうえで「卵の香の物の仕方」を載せる。抜き書きと書いてあるので、別の本として数えない。呼び名「卵の香の物」は別名として足した
研磨係
2026-10-10 支持 B→B
同じ寛政7年の本の「卵の香物の仕方」の末尾に、奈良漬の糟に漬け、塩を見計らって入れ、十四五日ほどして使うこと、茶家の香の物によいこと、小口切りにすることが書かれている(頁の画像を拡大して1字ずつ読み直した)
研磨係
2026-10-10 支持 B→B
同じ寛政7年の本の「卵の香物の仕方」の本文で、花瓜に詰める卵を「煎貫のたまご」と書き、煎貫に振り仮名「にぬき」を付ける(固ゆでの卵のこと)
研磨係

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