食材から辿る / 在来
塩漬け牛肉 素材 時期 C検証済
塩漬け牛肉が、いつ・どこで食べ物として成立し、各地へどう伝わったかをまとめています。 原産地での成立を3ゲート(食材入手・調理技術・場)で示し、その後の各地への到来を記録でたどります。
牛肉を塩(乾塩の擦り込み/ブライン漬け)で保存加工した食材。加工の実在を物証で確認できる最古は新王国期エジプトの副葬肉で、ユヤ&チュウユ墓(第18王朝・前1400年ごろ)の牛肋肉、トトメス3世/アメンホテプ2世墓の乾燥・塩蔵肉片が知られる(Clark, Ikram & Evershed 2013, PNAS)=初出年(遅くともこの年には存在)。よって成立の窓は前6000年ごろ〜前1400年で、物証で押さえられる前1400年を代表値に置く(初出≠発祥=実際の開始はこれより早い可能性が高い)。近世ヨーロッパでは樽詰めの塩漬け牛肉が航海・軍用の保存食かつ交易商品として産業化し、英語 corned beef(粗塩の粒=corn による塩漬けの意)はこの近世の商品形態を指す。アイルランドでは家畜輸出制限法(Cattle Acts 1663・1667)が生牛輸出を絞った結果、コークを中心に塩漬け牛肉の輸出産業が成長し英仏海軍と植民地に供給された(Mac Con Iomaire & Gallagher 2011)
3ゲート
- 食材入手ゲート
- 牛肉(近東アナトリアで前8500年ごろオーロックス家畜化=食材ゲート台帳: 牛肉@アナトリア=前8500年、以後旧大陸各地で在来)+塩(エジプトで在来=食材ゲート台帳: 塩@エジプト=前3000年、意図的製塩は前6000年ごろ)
- 調理技術ゲート
- 塩蔵=乾塩の擦り込みまたはブライン漬けによる食肉の保存加工。この加工こそが素材『塩漬け牛肉』を定義する律速で、物証で確認できる最古は新王国期エジプト(前15〜14世紀)の副葬肉(Clark, Ikram & Evershed 2013)。近世には樽詰め塩漬け(corned=粗塩の粒 corn による塩漬け)として航海・軍用の保存食に産業化した
- 場ゲート
- 家政・港湾の食肉加工の場で保存食・備蓄・交易品としてそのまま成立=加工(食材入手)と同年。場ゲートは退化
各地への伝来 2
各地で食べ物として定着した時期の記録です。地域によっては、それに先立つ物理的な到来(観賞用など、食用より前の前史)が含まれることがあります。
- 前1450〜前1350頃 エジプト 在来加工
- 1600〜1700頃 カナダ 植民地交易流通
塩漬け牛肉を使う料理 1
- シチュー・ピーズ ジャマイカ1550年ごろ