食材から辿る / 在来
馬乳(家畜馬の乳) 素材 時期 B検証済
馬乳(家畜馬の乳)が、いつ・どこで食べ物として成立し、各地へどう伝わったかをまとめています。 原産地での成立を3ゲート(食材入手・調理技術・場)で示し、その後の各地への到来を記録でたどります。
前3000年紀前半(ユーラシア草原)。人が馬の乳を飲んだことの最古の直接証拠は、下ドン草原クリヴャンスキー9のヤムナヤ期人骨の歯石から出た馬(Equus)の乳タンパクで、前3305〜2633 cal BC。前3500年頃のボタイ(カザフスタン北部)に遡らせる説もあるが係争中。以後、家畜馬の拡散に伴って草原全域へ広がり、ウクライナのスキタイ期(前700〜200年)、モンゴル高原(前1200年頃)で確認される
3ゲート
- 食材入手ゲート
- 泌乳中の母馬。馬はユーラシア草原の在来動物で、群れを管理下に置ければ得られる在来資源=外から到来する食材ではない。ただし乳を得るには馬が人の管理下にあることが前提で、現代家畜馬の系統は前2200年頃に下ヴォルガ・ドン草原で成立し前2000年頃から急拡散した。人が馬乳を飲んだ最古の直接証拠は前3305〜2633 cal BC のヤムナヤ期歯石
- 調理技術ゲート
- 母馬の搾乳。牛と違って馬は泌乳量が少なく乳房に乳を溜めないため、仔馬を繋いで母馬の側に置き乳を下ろさせ、夏の搾乳期に1日数回に分けて少量ずつ搾る。搾った乳を受ける容器(土器や革袋)と、夏季に限られる搾乳期の労働編成が要る
- 場ゲート
- 草原で馬を飼う牧畜民の家庭。夏の搾乳期に自家で搾って日常的に飲み、余剰は発酵させて保存する。宮廷や専門の作り手を経ない在地の家庭生産物
各地への伝来 4
各地で食べ物として定着した時期の記録です。地域によっては、それに先立つ物理的な到来(観賞用など、食用より前の前史)が含まれることがあります。
- 前3305〜前2633頃 ロシア 在来
- 前2000頃 カザフ草原 在来
- 前1200頃 モンゴル 在来加工
- 前700〜前200頃 ウクライナ 在来
馬乳(家畜馬の乳)の到来が成立を縛った料理 1
馬乳(家畜馬の乳)が届く前には成り立たなかった料理です。到来年が、その料理の物理的な下限になります。
- アイラグ(馬乳酒) モンゴル前1200年ごろ